Q&A

※生年月日や印鑑のことなどは『署名ハンドブック』をご覧ください。

なぜ、平和・無防備都市条例を実現したいの?

 日本国憲法 前文 は、
 『われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。』
 とうたっています。
 さらに、前文の「平和に生存する権利」を保障するものとして、9条の規定があります。
 『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』
 この平和憲法を守り、戦争に協力せず、国際人道法の内容を盛り込んだ「平和・無防備都市条例」を“ふるさと・西宮”でつくりたいのです。
 なぜなら、今、日本は自衛隊を海外派兵し、戦争の道をすすんでいるからです。有事法制ができ、憲法を変えるための検討も進められ、自治体や民間が戦争に協力させられようとしています。
 市民の力で平和条例を制定して、「国際平和を希求し」「平和に生存する権利」を守りたいのです。
 条例では、主に、次の内容を盛り込みたいと考えています。
  1. 西宮市は、戦争に関する事務などを行なわない。
  2. 西宮市は、非核政策を徹底する。
  3. 平時からジュネーブ条約第一追加議定書の「無防備地域宣言」の条件を満たすよう努める。
  4. 西宮市は、ふだんから平和行政をすすめ、世界の都市と平和友好関係を広げる。
(※)なぜ“西宮市”で実現したいのかは、こちらをご覧ください。
(※)条例案は、こちらをご覧ください。

「国際人道法」ってなに?

戦争をなくす人類の努力の中で生まれた「国際人道法」
 人類は、戦争で多くの悲劇を生み出してきましたが、一方で、戦争をなくす努力も重ねてきました。その歴史は100年以上前にまでさかのぼります。(「戦争違法化の歴史」とも言います。)
 そして、戦時の非人道的行為の禁止や民間人の保護などを定めた数々の条約ができ、「国際人道法」と呼ばれています。これらは、確立された国際法規になっています。
 有名なのが、第2次世界大戦後、スイスのジュネーブで結ばれた「ジュネーブ諸条約」です。
 (同時期に、日本では「平和憲法」ができました。第9条は世界でも有名です。平和憲法で、日本に住む私たちは、武器を持たないで世界の平和と幸福を実現しよう、と誓いました。)
 しかし、それからも朝鮮戦争やベトナム戦争などが起こり、圧倒的に多くの民間人がまきこまれ犠牲になりました。
戦争中の犠牲者の割合 民間人 軍人
第1次世界大戦 …… 5% 95%
第2次世界大戦 …… 48% 52%
朝鮮戦争 …… 84% 16%
ベトナム戦争 …… 95% 5%
 そこで、民間人をもっと徹底して保護するために、1977年にジュネーブ諸条約の追加議定書ができました。
 追加議定書には、世界の8割以上の国が加入しています。日本は2004年に加入しました。日本周辺国では、中国、ロシア、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国なども加入しています。
国も地方自治体も、「国際人道法」を遵守する必要があります。
 日本国憲法第98条第2項は
 『確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。』
 とうたっており、
 ジュネーブ諸条約第一追加議定書の第1条第1項で
 『締約国は、すべての場合において、この議定書を尊重し、かつ、この議定書の尊重を確保することを約束する。』
 と、すべての場合において議定書を尊重することを、日本国は約束しています。
 また、国民保護法第9条第2項でも、
 『国民の保護のための措置を実施するに当たっては、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施を確保しなければならない。』
 と定めています。
 地方自治体も、当然、確立された国際法規・国際人道法を、誠実に遵守する必要があります。
 なお、アメリカなどは追加議定書に加入せず、国際法の根拠もなしにイラクを攻撃し、民間人を虐殺しています。このような非人道的行為は、人類が積み重ねてきた戦争違法化の歴史を否定するものです。国際世論の圧力で、国際人道法を遵守させていく必要があります。
 世論を広げる意味でも「国際人道法」を盛り込んだ「平和条例」をつくることは大きな意義があります。

「無防備地域」ってなに?

「無防備地域」は、4つの条件を満たしていれば自治体が宣言できます。
 ジュネーブ諸条約第一追加議定書の第59条に「無防備地域」の規定があります。
 それは、戦争がさしせまった時、武器や軍隊を持たない地域を「無防備地域」として宣言できる規定です。その「宣言」をすると、地域全体がまるごと攻撃禁止になり、違反すると戦争犯罪になります。
 「無防備地域」は、次の4つの条件を満たしていれば自治体が宣言できます。
 その条件は、
  1. すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること。
  2. 固定された軍事施設の敵対的な使用が行われないこと。
  3. 当局又は住民により敵対行為が行われないこと。
  4. 軍事行動を支援する活動が行われないこと。
 です。
 歴史が明らかにしているように、戦争で一番被害を受けるのは一般市民です。特に、軍事施設や軍隊の近くにいる市民が犠牲になります。
 第一追加議定書の第58条(b)には、
『人口の集中している地域又はその付近に軍事目標を設けることを避けること。』
 という規定があります。
 その次の第59条で、武器や軍隊を持たない地域を「無防備地域」として宣言できるようになっています。
 (※)『ジュネーヴ諸条約第一追加議定書』は、こちらをご覧ください。

「無防備地域宣言」を条例に盛り込む意義は?

平時から「無防備地域」の条件を守ることにこそ大きな意味があります。
 憲法第9条の「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し……」の主語は「日本国民」ですが、当然、地方自治体にもあてはまります。
 私たちは、戦争で子どもたちなどが犠牲になるのを見たくありませんし、戦場にも行かせたくありません。
 「無防備地域」の4つの条件は、武器を持たないで世界の平和と幸福を実現しよう、と誓った憲法を地域レベルで具体化することです。
 言い換えれば、「憲法や国際人道法を誠実に遵守しよう」ということです。
市民や地方自治体が、戦争に協力させられようとしている今こそ。
 地方自治体には、市民の安全と平和を守る責任と権限があります。自治体の日常的な国際交流事業、平和友好都市づくり、国際機関への働きかけなどは「自治体の平和外交」とも言われています。地方自治体は、平和を実現する力をもっています。
 これは、今、国が進めている軍事力の強化(有事法制定、自衛隊の海外派兵・再編・強化など)と違う方向であり、外交や防衛の分野を、国に独占(または支配)させてはいけません。
 「西宮市平和無防備都市条例(案)」には、『非核政策』『平和行政の推進』についても、大きく盛り込んでします。
 『ともに平和に生きる社会』を実現するためにも、「条例」を実現しましょう。そして、この取り組みを全国、世界に広がっていきましょう。
 (※)『自治体の平和外交』の実例は、こちらをご覧ください。
 (※)西宮市での空襲被害

「無防備地域」の先例はありますか?

 1907年のハーグ条約に「無防守都市」(非防守都市)という規定があり、それが「無防備地域」の前身です。
 第2次世界大戦中のローマやパリでは、無防守都市の宣言をし、ドイツ軍による砲撃をまぬがれました。
 その「無防守都市」の規定をさらに発展させたのが、ジュネーブ諸条約第一追加議定書の「無防備地域」です。
 日本でも、第2次世界大戦中、軍隊を拒否して、戦禍をまぬがれた地域があります。
 沖縄本島とその周辺では、沖縄戦で住民の約4分の1が犠牲になりましたが、沖縄・渡嘉敷とかしき村の前島は、ほとんど攻撃されませんでした。
 1944年10月、前島に日本軍が駐屯しようとしました。島の国民学校の比嘉分校長は、中国大陸での戦場体験から「軍隊がいるところは攻撃される」と考え、駐屯しないよう決死の交渉をしました。
 1945年3月下旬、住民270人の前島に米軍150人が上陸してきましたが、日本軍や軍事施設がないことを確認し、「平常どおりの生活をしなさい」とスピーカーで放送して去っていきました。
 中米のコスタリカは、1949年のコスタリカ憲法12条で軍隊を廃止しました。
 1983年、非武装永世中立を大統領宣言し、諸外国に通知しました。そして、1987年には、アリアス大統領(当時)がニカラグア紛争に対する和平案を出し、ノーベル平和賞を受賞しています。
 コスタリカは、多数の難民を受け入れ、国連国際大学や米州人権裁判所を誘致しています。国家予算の約20%は教育費です。

「無防備地域」のマーク

無防備地域のマーク
 これは、赤十字国際委員会が、「無防備地域」を表示するマークの案として提示したものです。討議の中で、国以外の「適当な当局(複数形)」も宣言できるようになったので、マークも統一したものを決めず、宣言時にそれぞれが決めることになりました。
(この項と前項の参考文献:「Q&Qの時代を生きる」(林茂夫著)、ポスタレット「戦争からあなたを守ります 知っていますか?このマーク」)


「無防備地域」で大丈夫なの?

 多く寄せられている疑問ですので、簡単に述べておきます。
 まず、軍隊は住民を守ることを最優先にしません。武器を持って戦闘し、場合によっては住民を犠牲にします。軍隊が住民を守らないのは「建物疎開」や「沖縄戦」の例でも明らかですし、「満州」でも開拓団・在留邦人が置き去りにされました。今の自衛隊も同様です。自衛隊の任務はまず敵を排除することであり、住民保護はその次なのです。
 そして、常識的に考えても、攻撃を受ける危険性が一番高いのは、軍事施設のあるところであり、軍隊がいるところです。
 また、9・11事件をみれば明らかなように、どれだけ軍事力を持っていてもテロを防げませんでした。逆に軍事力で他国を侵害しているためにテロ攻撃の対象にされたとも言えるでしょう。
 平和憲法を持つ日本の自治体が戦争をしないこと(無防備地域)を宣言して、世界に向けて発信することで攻撃を受ける「根拠」を無くしていくことが、住民を守る一番確実な方法なのです。
 繰り返しになりますが、「無防備地域宣言」を条例に盛り込む意義は、武器を持たないで世界の平和と幸福を実現しよう、と誓った憲法を地域レベルで具体化することです。
 日本と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との外交問題についても、国連憲章、国際人道法、憲法前文・9条の理念に沿って、お互いの信頼関係を積み上げ、平和的に解決していくことが大切だと考えます。(下記リンクも参考にしてください。)
 私たちは、自分たちの住む街や地域を愛しています。そして、命を大切にしたいと考えています。世界中の人々にとっても、その願いは同じだと思います。それを、おろかな人間の行為として破壊するのが戦争です。
 戦争のない世界をつくるために、当会は「平和・無防備都市条例」をめざしているのです。
 それでも、軍隊を持っていないと心配な方は、追加議定書について注釈をご覧ください。

 1947年の文部省教材「あたらしい憲法のはなし」から抜粋・・・

 戦争の放棄
 ・・・そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは、「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
 もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです。・・・これを戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。



条例制定の「直接請求」ってなに? 「受任者」ってなに?

 地方自治法第12条、74条に定められている住民の権利です。
 住民が、条例の制定や改正、廃止を直接求めることができる制度です。
 有権者の50分の1以上(西宮市では約7200)の署名を集めて市長に提出すると、市長は意見を付して条例案を市議会にはからなければなりません。
 市議会が条例案を採択すれば条例が制定されます。
 「直接請求」の署名集めなどを通して、市民どうしで話し合って、平和のこと、命のことを考えていきたいと思います。
 いいかえれば、市民が主体になって自治を創る運動であり、地域のことは地域の市民で決めていくということです。
 署名を集める期間は1か月間です。署名を集めていただく人を「受任者」といいます。
 当会では、2005年4月29日〜5月28日に署名を集め、約600人の方が「受任者」の登録をしました。
 (条例を制定するには、市会議員の皆さんの賛成が必要です。このページをご覧になられている市会議員や市役所の方々は、ぜひご協力をお願いいたします。)


参考になるサイトは?